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概要

news_no.100

2020年(令和2年)1月1日 第100号(1) 2020年( 令和2年)1月1日第100号〒160-8306東京都新宿区西新宿5-25-11-2F ㈱日本小児医事出版社内一般社団法人 全国病児保育協議会ホームページ https://www.byoujihoiku.net/ FAX.03-5388-5193一般社団法人 全国病児保育協議会事務局 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース大 川 洋 二(大川こども&内科クリニック)一般社団法人 全国病児保育協議会 会長  大川 洋二2020年新春社会の変化と小児医療、そして病児保育少産良育の時代がきた大川こども内科クリニック OCFC 病児保育室うさぎのママ 新年あけましておめでとうございます。昨年は天変地異に見舞われ、日本各地で大きな被害が発生しました。ここで改めてお見舞い申し上げます。私たちは一人では生きていけません。被害にあわれたら、そして絶望の淵に至るようなときには大きな声で助けをよんでください。全力で復興から立ち上がり、絶望の淵から日常生活へと戻れるよう力を尽くします。そして復興を手助けする力が、自ら被災したときに復興する力となって戻ってくるのです。 ところで今年はネズミ年です。でも実はネズミ年は子年とかいて種子の中に新しい生命が宿る意味なのです。チャイルドレン ファースト(ChildrenFirst)の年です。そして未来志向の年でもあります。新しい命を大切に育てる病児保育の目標に適った年でもあります。今年を機会に新しい命がねずみ算のごとく増えるといいですね。 世界は多産多死の時代が紀元後1900年以上継続し、ペニシリン等の抗生剤の開発により感染症による死亡が激減し、多産少死の時代となり人口が飛躍的に増えました。これを疫学転換と呼びます。しかし1960年代以降出生数は減少し、世界は逐次少産少死の時代となり、実際に日本の人口の減少が2000年代から始まってきました。この間医療は治療だけを行っていた時代から現在の予防医学そして再生医学や身体機能の温存と回復を目的とするリハビリ医学の時代となっています。これを健康転換と呼んでいます。小児科医の仕事も感染症の治療から、感染予防の時代となり予防接種の普及拡大、健診等による先天性疾患、内分泌、代謝疾患あるいは悪性新生物の発病早期の診断、さらに発病前の診断と予防及び対応に主眼が行われてきています。この少産少死の先にある時代はどうなるのでしょうか。 人口が減少し、活力が失われ街角から子どもたちの声が失われてきています。人口が今より少なくても20世紀の日本には子どもの声が溢れ、活力がみなぎっていました。子どもの声が聞きたい。これが切実な日本の願いです。ではどうしたら子どもの声が街角に溢れるのでしょうか。それは子育てが楽しい、喜びを感じる社会となることです。育児が最も辛いときは、子どもが病気になった時です。その時誰にも助けを求められずに育児の孤独を感じれば、子どもを愛おしく思えず、育児放棄や虐待に至る可能性もあります。大切なことは保護者に孤独感を与えないことです。我が子の育児は保護者が一番ですが、社会全体が親子を守っている環境が必要です。保育園もその役目がありますが、病児保育がその究極の機能を持っています。少子化が言われている中、人口妊娠中絶は現在16万4621件(平成29年度)となっています。医学的な理由で中絶を選択する例もあると思いますが、社会制度の不備、経済状態の悪化、社会の不理解等で中絶に至った例も少なくなく、そのケースを救い上げることができたら大切な命を失わなくてすんだことになります。中絶防止のための役目も病児保育はその一端を担うこととなります。 病児保育に携わる保育士・看護師として、また医師として遂行しなければならない使命がそこにあります。 また発達に不均衡があり、変わっている子、育てにくい子、友達と遊べない子など社会性に問題がある児童にたいして。早期の気づき、対応、社会で生きていく上での技術(ソーシャルスキル)を提供することもこれからの私たちに求められています。これからの社会は単に子育て支援ではなく、こどもに最適な環境を提供し、病気からの早期回復を図り、発達に関する様々な援助の提供をおこなわなければなりません。児が持って生まれた才能を環境や疾病によって損なわれることなく育む支援、すなわち少産良育の時代に突入するのです。その重大な役目を病児保育は担うこととなります。病児保育に携わる皆様は日本を立て直すキーパーソンです。今年も皆様のご活躍を切にお祈り申し上げます。