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概要

news_no.100

2020年(令和2年)1月1日 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 第100号(11)「ご飯食べれる?」と聞くとお返事がありません。「そしたらリンゴすってこよか?」と言うと、うん、とうなづいてくれました。「元気になったらいっぱい食べられるから、今はちょっとずつにしておこうね」と言って、横になったまま、スプーンで少しずつお口に入れました。その様子を見かけて、「なつかしいねー、ケアルームの時の小田さんや?。」と言って、ともにケアルームを経験した職員が声をかけてくれました。「ほんまやね?久しぶりやなぁ?。」と話しているうちに、彼はスヤスヤと眠りにつきました。そしてなんと点滴を受ける事もなく、見事に復活して次の日には、大好きな車のおもちゃを走らせていました。 目の前にいる、今一番つらくて、不安な親子に寄り添い、大丈夫、大丈夫、一緒に頑張ろうねと歩んできた病児保育には、多くのやさしい笑顔とあたたかな手がありました。 保育園の担任の先生でもないのですが、今でも、「先生うちの息子、大学出て、東京に就職してんよー。」と声を掛けて頂いたり、「先生うちの娘、保育士になったんよ?。」と、いろんなところで、楽しい再会があります。大きくなったら、ケアルームの保育士さんになりたいと、卒園文集に書いてくれた彼女はどうしているかな?きっと優しいお姉さんになっていますね。 病児保育は楽しい!隔離室の保育はもっと楽しい??こどもたちのパワーって素晴らしい??これからもどうぞたくさんの、お父さん、お母さん、こどもたちとともに、素敵な病児保育室を育てて頂ける事を、願っております。 病児保育に愛をこめて。 病児保育に関わって、あっという間の22年である。私は保育士養成校に勤めながら、病児保育の現場を見せていただいている。1997年、水戸の病後児保育室の見学から始まり、北海道旭川市から沖縄石垣島の保育所まで300施設ほど歩いてきた。現在は全国病児保育協議会の保育所型委員会や東京葛飾区病児・病後児保育協議会に属し、スタッフと一緒に病児保育の課題を考えている。病児保育所と関係ができ、病児保育所実習を学生が経験した。 病児保育の認知は、当初から課題だった。病児保育の利用者が増え、次第に病児保育は広まってきたが、子どもの発熱で明日休まざるを得ない保護者に、保育者は「病児保育もありますよ。」と一声添えてほしいと思った。病児保育の現実を知って卒業する学生は少ない。また、幼稚園教諭は子ども園に統合される可能性があるが、ほとんど病児保育を知らない。 そこで、72年続く老舗の日本保育学会で、病児保育のピーアールをすることにした。病児・病後児保育見えるか5か年計画として、2018年から病児保育の自主シンポジウムを2回開催した。多くの保育者の集まる会で病児保育を知るきっかけになればと考えている。 第1回目は2018年仙台で開かれ、病児・病後児保育見えるか5か年計画 -ささやきーとした。2回目は2019年東京で副題はー始まりから未来へつなぐーとした。ナオミ保育園バンビ病気明け保育室の実践をもとに、未来へ向けて発信してもらった。3回目は来年2020年奈良で開催予定であり、エントリーが決まっている。病児保育のスタッフにシンポジストになってもらい感謝とともに、この小さな試みが、病児保育の推進に役立つことを願っている。病児保育の未来を拓く病児・病後児保育見えるか5か年計画桜井ますみ帝京平成大学