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概要

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2020年(令和2年)1月1日 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 第100号(3)「子どもの泣き声」一般社団法人 全国病児保育協議会 副会長  佐藤 里美 2019年も自然災害が多く発生し、私の住む千葉県でも大型の台風2つとかつてないほどの大雨被害に見舞われました。年々防災意識は高まっているものの、自然災害は容赦なく襲い、結果避難所生活を余儀なくされる方も多くいらっしゃいます。そのような中で気になっているのが、避難所における子どもの居場所です。「子どもがうるさい」「泣き声が耳につく」「泣き声で眠れない」といった声など、突然の災害で普段は気にならない事や些細な事が大きなストレスになることでしょう。そして子どもを泣かさないように試行錯誤する親、早く寝る人の迷惑にならないようにと、暗闇の中子どもを抱いて過ごす親がいることを聞き心が痛みました。 小児科の乳幼児健診で、「すみません、こんなに泣いちゃって。いつもはこんなに泣く子じゃないんですけど」と大汗をかいている母親に出会います。こんな場所でも子どもの泣く、を親は気にします。「お母さんそんなに心配しなくても大丈夫。みんな泣きますよ。いつもと違う場所で、裸になるんですから。〇〇ちゃんだって不安ですよ」と、私たちにとっては当たり前の声掛けでも、母親には安堵の表情が見られます。 私たちは「子どもの泣き」にさまざまな理由があることを知っています。 「ママを呼んでいるのかな」「ギュッとしてもらおうか」、病児保育室においては「知らない場所で不安だよね」「今日は具合が悪くて離れたくないね」「静かな場所で過ごしたいかなあ」など、泣きの原因を探って、適切な対応とアドバイスを発信したいものです。 子どもに対する感覚は人それぞれで、特に災害時などは相手を思いやる気持ちを持つことは大変ですが、少子化といわれる現代社会において、子どもの泣き声、笑い声、こんなに周りを幸せにしてくれるものはないと思っています。子どもの泣き声が虐待要因にもなっている今、多くの子どもが大きな声を出して安心して過ごせる毎日を願いたいです。さとう小児科医院 病児保育室バンビーノます。新春のお祝いを申し上げますとともに、先輩方のこれまでのご尽力に心より感謝申し上げます。私が開業医として仕事を始めた頃は、病児保育という言葉さえもよく知りませんでしたし、病児保育は、保護者の子育て支援のためというイメージが強かったと思います。 しかし、最近の虐待事件の多発をみても、その背景には保護者の子育て力の低下があることは明らかで、小児科外来を受診する母親(父親)たちをみていると、育児の経験・知識不足だけではなく、育児に余裕がないことを強く感じます。 大川会長がいつも言っておられるように、病児保育士が、母子とともに楽しく育児ができるように支援をし、専門性を生かした「育児讃歌」をすすめていければと思います。 「第29回大会inいわて」で、会頭の山口淑子先生がテーマとして取り上げられた「少子化時代の病児保育?様変わりする育児環境」のように、これからの病児保育に求められていることは、時代ともに変化していくと思われます。また特別講演でも取り上げられたように、様々な疾病や障害を抱えた子どもたちにも対応することが求められます。 このよう多様化するニーズに対応できる専門性をもった病児保育専門士が、すでに400人以上全国で活躍されています。また、昨年、安全対策委員会からはインシデント管理システムmimsで集積された事例を基に「事例から考える安全対策ハンドブック」が発行されました。安心安全で質の高い病児保育が全国どこでも受けられるように。そしてこれからの病児保育協議会がますます発展し、協議会ニュースも次の100号つまり200号記念号に向けてみんなで積み重ねていきましょう。