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概要

news_no.105

2021年(令和3年)1月1日 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 第105号(3)密どころか、4密、5密といっても過言ではない」と保育現場の厳しさを訴えられます。病児保育はこれに病気が加わります。しかしこれも私たちの知識と経験をもって対処できると考えます。病気による不安、慣れない場所・人への不安をしっかり受け止めるためには子どもと保育者との密接(密着)は避けられないものの、1対1保育に近い病児保育では密集は避けられ、換気を基本とした環境調整で密閉は避けられます。お昼寝の時には間隔を開け、咳の症状が強い場合は部屋を分けるなど、フィジカルディスタンスが取れます。2020年11月「十分な感染対策を行うことにより、園児がマスクを通常していない場合でも、保育園での施設内感染のリスクは極めて低いと考えられる。」と、みなと保健所および日本小児科医会より報告がありました。保育看護のプロとして今の事態を正しく畏れ、自信をもって保育を行いましょう。 人々の交流の場が減り、子育てについて気軽に相談できる人がいない、ストレス発散の方法が見つけられないなど、保護者の心配事も増えています。保護者の気持ちに寄り添い、子どもたちが少しでも安心、快適に日々を過ごせるように、地域に根付く病児保育室がこれまで以上に子育て支援に欠かすことのできない存在になれるよう、みんなで取り組んでいきましょう。「共感性はふれあいの経験から育まれる」 アメリカの心理学者ホフマンは、「共感性はほとんどの人が生まれつき持っているもので、1歳前後の子どもでも同年齢の子どもが近くで泣いていれば、自分も同様に悲しそうな顔をする。時には、泣いている子に自分の持っているおもちゃを与えてなだめようとしたり、安心させるために自分の母親を呼んできたりすることもある」と言っています。思いやりの基礎はどのようにして育つのでしょうか。 ごっこ遊びを通して別の人物の役を演じたり、玩具の取り合いをしたりすることで他の人の気持ちが分かるようになります。これを共感性といいます。最初は生活の中で共感しますが、やがてそれらを超えたところでも共感できるようになるといわれています。子どもが親との信頼関係を失ったり、競争原理の社会環境ばかりに置かれると、いつの間にか共感性が失われてしまったりします。そして、冷たく排他的、攻撃的な子どもになることさえあります。思いやりが育つためには、大人が思いやりを持って接し、共感する力を呼び覚ます手だてを指し示す必要があります。 私たちは年齢を経るにしたがって素直な気持ちが薄れ、むしろ人を警戒して没交渉となり、人との関わりを重荷と感じます。子どもの頃がもっとも自由であったと回顧し、様々なふれあいの経験が今を作っているのだと気づかされます。 コロナ禍で人と会ったり会話したり、触れ合うことが阻まれる昨今です。保育の現場は三密を避けられません。必要に求められてそれらの対応をした結果、子ども達にどのような影響が出るのかエビデンスを伴う結果が出るまでには時間がかかるようです。ただ現場に居て思うことは、病児病後児保育室はこのような不透明な状況下にあっても、子どもや親が安心して利用できるための感染対策や、ふれあいの保育が維持され続けているということです。一般社団法人 全国病児保育協議会 副会長  髙橋 広美砂原保育園 病後児保育室「とまと」