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概要

news_no.106

2021年(令和3年)4月1日 第106号(1)2021年(令和3年)4月1日第106号〒160-8306東京都新宿区西新宿5-25-11-2F ㈱日本小児医事出版社内一般社団法人全国病児保育協議会ホームページhttps://www.byoujihoiku.net/ FAX.03-5388-5193一般社団法人全国病児保育協議会事務局一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース大 川 洋 二(大川こども&内科クリニック)病児保育にパラダイムシフトがおこる 皆さん、パラダイムシフトってご存知ですか。それまでの常識に基づいて構築されていた、システム、制度が大きく変わることです。それが今この病児保育で起こる可能性があります。 今回の30回大会は大きく揺れ動きました。東京オリンピックのため、海の日開催と東京開催をあきらめ、開催日は9月に、会場は横浜のシンボル、みなとみらい地区に新築なったパシフィコ横浜Northで行う大転換のもとに予定されました。2020年の開催年にCOVID-19のパンデミックがおこりました。日本は第1波、第2波に翻弄され、研究大会も5月には開催延期とし、2021年1月16日、17日の開催としました。さらに収束しないCOVID-19によって、開催は会場開催からWeb配信を併用するハイブリッド開催に変更したのは11月でした。その後東京、そして日本は三度大流行に瀕し、これまでよりもはるかに大きな第3波の渦中で緊急事態宣言を受けて、開催1週間前にすべての企画をICTによるWeb配信大会に変更しました。 当初特別講演、教育講演の収録は可能かと心配でしたが、12月にはすべてに収録ができました。一般演題に関してもITによる収録を応募者にお願いし、ほとんどすべての演題で録音録画が可能となりました。ワークショップも本来少人数で、顔を合わせ、抱えてきた課題、解決できない問題、その場で思いついた疑問を直接話合い、実践する場であったはずです。そのため一部の企画は中止になりましたが、驚くべきことに開催したワークショップでは新たな発見、出会いがあったようです。若き保育士、看護師の順応力には脱帽です。教育講演、特別講演、研修プログラム、委員会セミナーは内容の充実に加え、繰り返し視聴できるオンデマンド配信のため、従来以上の研修効果がありました。 研究大会は会頭講演、会頭シンポジウムで始まりました。今回のテーマは「子育て支援から子育て讃歌へ、~AIは病児保育の未来を拓くか~」です。しかし、この1年のCOVID-19の跋扈により病児保育は大きく翻弄され、変貌を余儀なくされる局面に直面しております。会頭講演の大半はCOVID-19の流行下で、病児保育がいかに対応したか講演し、杉野副会長からは全国の病児保育の経営状況、黒木感染症対策委員からは各施設の対応に関する調査報告が行われました。同時にこの感染症流行下での病児保育の在り方、さらに家庭の保育力と病児保育に関する根源的な問いかけも行われました。私たちはこの繰り返される問題には真摯に対処しなければなりません。またコロナ禍で変わった社会生活、地方分散と、リモートワーク、長時間滞在することによる家庭での問題とその意味の変貌、子育ての多様化があります。その変化の中で子ども中心の、子どもの為の病児保育は、その変わらぬ目的を遂行するために変わらなければなりません。そうです。病児保育はパラダイムシフトに迫られているのです。 感染症特別講演(森尾友宏医科歯科大教授)では感染、免疫の話をSARS-CoV2を念頭に分かり易い講演がおこなわれました。愛着形成と病児保育シンポジウムでは利用者の大半が病児保育は愛着の妨げにならず、愛着の亢進を感じていることが判りました。子どもにとって良い環境の提供は保護者にゆとりを与え、親子の関係に好影響を与えるようです。AIと病児保育シンポジウムでは最新のAI技術を用いた保育や、小児病棟での試みが紹介されました。多くの病児保育関係者はAIを記録等に利用したいと考えていますが、保育そのものへの利用には疑問を持っています。AI技術を記録、観察、保育学習に効果的に利用して、余裕をもって保育士・看護師が病児と向き合い、専門性のある病児保育を行うことが望まれます。 最終日の公開シンポジウム「これからの日本をどうするのか 少子化問題解決の秘策を探る~病児保育の役割」は圧巻でした。政、官、財、マスコミの少子化問題に関する第一人者が集い議論を重ねました。各演者も持ち時間は20分ですが、総合討論は1時間を超え、白熱した議論が展開しました。病児保育制度の改革、子育て支援政策への重点的な予算配置、ポストコロナでの社会の変化に対応できる保育制度、病児保育制度が大切との結論でした。まさにパラダイムシフトが起こり始めています。 2日間のWeb配信、シンポジウムを通じて、当初提言された疑問は解決に向けて大きく前進しました。研究大会に登録された約700名の皆様、ご講演された皆様、また協議会参加施設の皆様に心より感謝をいたします。10月に再びお目にかかりましょう。第30回記念全国病児保育研究大会 大会特集号第30回記念全国病児保育研究大会 会頭大川 洋二大川こども内科クリニック OCFC 病児保育室うさぎのママ