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概要

news_no.106

(10)第106号 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 2021年(令和3年)4月1日 日本が現在抱えている最大の懸案は少子化です。なぜこの問題が過去約30年以上解決できないのでしょうか。この問題に正面から取り組んだのが本公開シンポジウムです。政・官・財・マスコミからこの問題に取り組む第一人者にご講演頂き、いくつかの問題点に関して議論を交わしました。政界からは自見はなこ参議院議員によりコロナ禍の病児保育の運営改善に努力された経過と成育基本法により小児医療、保育環境が大きく変わる事、子ども家庭庁の創設により少子化対策の一元化への試みが紹介されました。厚労省からは渡辺由美子子ども家庭局長が講演され、今後の保育政策の方向性、病児保育の在り方について説明されました。財界からは日本経済団体連合会の井上隆常務理事が財界の少子化対策に対する支援の詳細を述べられ、その中で子ども子育て関係の事業について多額の出資と企業としての保育事業への取り組みが紹介されました。マスコミ関係から子ども子育て会議委員でもある産経新聞佐藤好美論説委員がマスコミ関係者として、また子育てにかかわった保護者としての考え、さらに地域で支える子育ての重要さを講演されました。 総合討論では病児保育は就労支援ではなく子ども中心の制度であることを全員で確認して始まりました。病児保育の在り方は、子どもを育てる子ども家庭力を補完する制度であり、地域差を考慮した制度運営を行うこととなります。現状の正確な調査が必要です。企業内保育では運営の困難さを克服し、質の担保に勤めていること、本来は国の事業であることが話題となりました。病児保育は闇夜の街灯との発言には共感が集まりましたが、子育ての道に暗闇の部分はあってはならないのです。子育ての道を明るい楽しい小道にしましょう。少子化対策には多彩なメニューがありますが、十分な効果が上がっていません。今後は子育て関係に思い切った予算配分が必要です。ポスト(ウイズ)コロナ時代でも現在の社会変化には不可逆的な部分が残ります。地方分散とともにリモートワークにより家庭での時間が増え、家庭の重要性は上がります。子育ても多様化するでしょう。これからの時代に即した子育て、病児保育が必要であるとの結論に達しました。多くの質問に対してはHPに公開の予定です。置の経過、女性と子どもに関する政治の流れの変化を解説されました。また、子育ての経済負担を減らすための財源投入の必要性、成育基本法の制定による今後への期待、厚労省・内閣府・文科省を取り込んだ子ども家庭庁の創設の必要性を話されました。 渡辺由美子厚労省子ども家庭局長は、政府の待機児童対策について地域特性に応じた支援の重点化の必要性、来年度からの「新子育て安心プラン」について概説し、病児保育対策については事業費の基本部分の見直し、保育士の業務負担軽減を図るためのICT推進事業推進について説明されました。 井上隆経団連常務理事は、資本主義を持続可能とするために、働きながら希望する数の子どもを産み育てることが経済的社会的に尊重される社会の確立を目指しており、そのためには子育て支援の充実、男性の家事・育児への参加推進、女性の就業継続支援などが必要だと話されました。また、子育て支援のために休眠貯金を財源とするプラン、経済界が事業主拠出金によって待機児童対策や病児保育事業に貢献していることを紹介されました。 佐藤好美産経新聞論説委員は自身の子育ての経験を披露し、保育園や病児保育の問題を指摘しました。またCOVID-19によって、子ども食堂など国の事業の隙間を埋めていた地域支援事業が大きな打撃を受けたことを示し、危機が起こった時に機能する地域づくりの推進を強調されました。 総合討論では、病児保育の目的は子ども支援であり、闇夜の街灯のようにいつでも準備されているべきものだと確認しました。また、病児保育の量的充足や質的担保について討論が進み、最後に日本の少子化対策はなぜうまく機能しないのかという問題、女性の社会進出・キャリアアップ・政界への進出などの必要性についても意見が出されました。視聴者の方々からも多くの意見をいただき、今後の病児保育事業の発展を期待できる有意義なシンポジウムでした。【報告者:横田俊一郎】【報告者:大川 洋二】