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概要

news_no.106

2021年(令和3年)4月1日 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 第106号(13)セクション5 スタッフ育成とリスクマネジメント第30回記念全国病児保育研究会東京大会は、新型コロナの影響で最終的にはweb開催となりました。一般演題は収録による配信となり、残念ながら対面での質疑応答ができませんでした。しかしながら、こうした環境下にあっても演題を取り下げる事なく、しっかりとした発表をしてくださった演者の皆様に、改めて感謝いたします。E-1「子どもと家族への保育士・看護師等による病児保育実践に関する調査~保育者の知識と実践の特性~」 病児保育のスタッフは保育士と看護師・医師が中心構成になりますが、ある意味多職種の職場であり、知識や経験においてもそのバックグラウンドが異なります。本演題では、そうしたバックグラウンドの相違を数字的に明らかにしたものとして注目されます。これらの分析をもとに、今後、どのように運営する可能性があるのか、具体的な方法論の提案に期待したいと思います。 E-2「保育者養成校での病児保育の学びー病児保育を広げるためにー」 学生である学びの期間に、病児保育を意識したカリキュラムを導入していることは大きな魅力であり、やがて社会人になってから経験値が加わることで発展性が期待できる興味深い発表でした。このスペシャリストの利用者への認知をどのように拡大していくべきかが今後の課題と考えられます。 E-3「院内研修における安全対策ハンドブックの有用性」 ハンドブックを活用しての保育体制の見直しを、スタッフのほとんどが参加して行うことは、自施設におけるリスクマネジメントの方法として非常に有用と考えられる内容と思われました。多職種の参加ですから、職種によって気付きに違いがあったのか、実際の運営において研修が役に立った事例が経験されたのかの続報を期待したいと思います。 E-4「病児保育室において入院となった事例の分析及び注意点の抽出とその後の経過」 病児の状態にもさまざまなレベルがあり、場合によっては緊急的に入院となる場合があります。多職種の認識の統一化を諮り、きめ細かいケア(看護に近い)を実践している状況がよくわかる発表でした。こうしたある程度の規模の併設型施設は比較的少数でもあり、今回の経験事例が、小規模の併設型施設や単独施設の病児保育にどのように生かせるかの考察に期待したいと思います。報告者/座長:内田  寛(病児保育室「ぱるむ」)の施設およびグループからの発表がありました。 東北大学病院(星の子ルーム)からは、出張しての感染対策勉強会および発達相談の実施や保護者向け資料を作成し配布することによる「学内保育園との連携」に関する発表でした。砂原保育園(病児病後児保育室とまと)からは、東京都葛飾区の病児・病後児保育協議会参加保育室へ紹介のあった病院・クリニックにアンケートを実施した「地域の医療機関との連携」に関する発表で、紹介先医療機関からのニーズや疑問点を見つけ対応を検討しています。(東小岩わんぱくクリニック病児保育室わんぱく)及び川崎市の(社会福祉法人虹の会)からは、「同一運営組織における連携メリット」に関する発表でした。(病児保育協議会の保育園型プロジェクトチーム)からは、保護者のニーズから<受け入れ目安>作りを行い検証した「共同研究」に関する発表がありました。 各発表ともに明確な視点と具体的な報告および今後の課題や方向性が示され、わかりやすく興味深い内容でした。地域内の病児保育施設のみでなく、普段登園している保育園や紹介先の医療機関へ積極的に働きかけることで共通認識を持ち、情報提供やアンケートを実施することで問題点を見つけ出し検討しています。こうした働きかけは“顔の見える関係”を作り、お互いの誤解を無くし利用しやすくなる効果が期待されます。同一運営組織内での取り組みは地域内へも転用できると考えます。また共同研究では、地域の枠も超えて“同じ問題”に取り組み解決案を見出しています。点がつながり線となり、さらにネットワークとなっていく。病児保育の未来像を感じさせるセクションでした。