ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

news_no.106

(14)第106号 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 2021年(令和3年)4月1日 ポスター発表8題の報告を大嶋先生とともに担当した。 新型コロナ感染症に関連した報告が2題あった。「病児保育室さうだーで」から、保育士のテレワークの試みについて報告された。戸惑いを見せた子どもが慣れるに従い、興味を見せるようになったとのことだ。「ひまわり病児保育室」では流行初期~緊急事態宣言~解除の時期によっての対応について報告された。小児における感染は少ないと言われているものの、発熱などの症状がある子どもの受け入れについて苦慮したようだ。 プレパレーションに関連する報告が4題あった。それぞれ症例を通し、苦慮した点や改善に向けた検討がされた。年齢や発達に合わせた対応が必要である(病児保育室きりん)、子どもが抱える問題に気づき、改善策を見出す(病児保育室こひつじ)、子どもの心情を理解し、わかりやすい言葉で説明することが可能である(病児保育室ハグルーム)、家庭からの詳しい聞き取りと職員間での情報の共有の必要性を再認識した(病児看護センターベアーズデイサービス)など、子どもを尊重した言葉が見られた。 「エンゼル多摩」は、インフルエンザの保育について考察し、急性期の子どもを保育することの意味について検討した。「病児病後児保育室じょっこおながわ」では、勉強会を開催することにより、子どもの権利についての理解が深まり、より丁寧に寄り添うことができるようになったとのことだ。 全ての報告で、子どもの立場に立った検討がされ、今後より良い保育を提供するために有意義であった。一 般 演 題 1報告者/座長:泉  裕之(板橋区医師会病院 病児・病後児保育室) 【F-1】初めての父子家庭利用の経験から、多様化した子育て環境の理解を深めることを目的とした事例報告でした。威圧的な態度の父親に対し、行政とも連携し対応方法について検討した上で、傾聴し寄り添う姿勢を徹底したことによる利用毎の父親の変化、そして子育て環境への理解が深まることでより効果的な支援に繋がることを学ばせていただきました。 【F-2】精神疾患や被虐待経験のある保護者の育児支援、発達障害児の育児で疲弊している保護者の支援、こどもから感染した胃腸炎で育児困難に陥ったご家族の支援としてレスパイト・ケアを実践し、親子にとって今の休息だけでなく将来の安定に繋がるということ、そして病児保育室はレスパイト・ケアに適した環境であるということを示されました。 【F-3】臨床心理士が愛着行動の観点から育児支援としての病児保育の意義を検討した結果、児は病児保育室で安心して過ごせることがわかり、お迎え時にも安定した心理状態でいられることから、親子にとって再開を喜びあえる心理状態を築けていること、病児保育室は良好な親子関係を築くための育児支援の場としても重要であることが示されました。 【F-4】病児保育の利用実態に関する縦断的研究の報告でした。継続的に病児保育室を利用している児について、6歳までの利用日数、疾患数、主要疾患等の年齢による推移やその傾向をデータとしてお示しいただき、その利用実態を明確にしていただきました。 このセクションでは、私たちが日々関わっている病児の利用実態を知ることができたとともに、病児保育は良好な親子関係を築くことが可能であり、多様化した子育て環境を理解することでより充実した支援に繋がることを学びました。そして、レスパイト・ケアという病児保育室の新しい可能性についても知ることができました。子育て支援としての病児保育の役割を再認識し、この支援を必要としているご家族に届けたいと改めて感じるセクションとなりました。報告者/座長:吉岡 淑隆(いなみ小児科 病児保育室ハグルーム)セクション6 子育て支援・レスパイト