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概要

news_no.106

2021年(令和3年)4月1日 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 第106号(15) G-7は、新型コロナウイルス感染拡大期における妊婦保育士のテレワーク経験の発表でした。コロナ渦で行動規制がかかる中、保育士と看護師が通常通りの病児保育を現場で実施し、そこにライブカメラで利用児の年齢や疾患、病勢に適したプログラムを心掛けた読み聞かせ、手作りペープサート、物当てクイズ、童謡の歌うたい等を実施した。子供の反応は、開始前は戸惑いの様子で、ライブ配信中も恥ずかしがるが、気にはなる様子で耳を傾けていた。ライブ配信後の二回目は恥ずかしそうにしながらもずっと画面を向き、初日より状況に慣れた様子で、会話のやり取りも少し出てきた。また後日現場の保育者から恥ずかしがっていたが嫌がることはなく、二回目は楽しみにしていた様子が伺えたとの話であった。 G-8は新型コロナウイルス流行に伴う病児保育室の対応についての発表でした。流行時期を第1期(2020年2月28日まで)、第2期(2月28日から非常事態宣言が解除される5月25日まで)、第3期(非常事態宣言解除以降)に分けて保育室の対応と預かり数を検討した。対応について、第1期は通常と同じ受け入れ体制、第2期は各種抗原検査陰性、かつ感染原因が特定できない有熱性呼吸疾患は入室不可という入室基準を定めた。第3期は病原診断のつかない発熱の児の受け入れを開始した。受け入れ延べ人数は2月94名、3月43名、4月7名、5月16名、6月23名、と3月以降著減した。第2期以降5つの問題が発生したと述べている。第1に風評被害等で入室を断る、第2に自宅療養を働きかけることが困難な利用者の対応、第3に入室に際し各種抗原検査を行う児の負担、第4に発熱、下痢の症状もCOVID-19を否定できないとされるなど、症状によって受け入れ可能かどうか苦慮した、第5に受け入れ人数減少による経済的な損失を上げている。一 般 演 題 2報告者/座長:大嶋 政明(おおしまこどもクリニック 病児保育室ひだまり) 病児・病後児保育室は、地域や自治体、単独型か、医療機関併設型か、保育園併設型か等によって運営の仕方は様々であるが、今回の発表ではどの施設も、保育や看護の質の向上のために、様々な工夫がなされていた。 単独型では、他の病児保育施設と連携し、定期的な会議や研修を行うことで質を高める試みの発表があった。他施設との連携により、保育看護の質を高めるだけでなく、スタッフの心の安定や意識向上にもつながることが示された。 新人スタッフに対する独自のプログラムを作成、実践している施設では、実践での学びだけによらず、目に見える形でフィードバックを行っていた。病児保育室では、病状も様々で、発達年齢の異なる子どもを同時にみるため、難易度の高い保育看護が要求される。習得は容易ではないが、プログラムの実践とフィードバックの積み重ねにより、スタッフの技術を向上させることが可能であると思われた。医療機関併設型では、従来の病児保育の概念に捕らわれず、必要な病児に点滴治療を施すなどの処置を行い、保護者の育児支援につなげる保育看護を実践している発表があった。また、医療機関との連携を深めるため、保育士がクリニックの診察に事前に立ち会い、よりきめ細かな保育看護計画を立てて実践する取り組みの発表もあった。これは、保育者が事前に病児の状態を把握できるだけでなく、保護者や病児にとっても安心が得られることがわかった。乳児から小学6年まで幅広く受け入れている施設では、年齢や発達に応じた環境整備、一日の過ごし方の工夫、栄養士による病状に応じた食事提供など、独自の取り組みがなされていた。 参加者は、病児保育室における保育看護のあり方について視野を広げられたと思われる。今後は、これらが各々の発表にとどまらず、今後さらなる病児保育事業の発展につながる情報源となることを願っている。一 般 演 題 3報告者/座長:中澤裕美子(ニコこどもクリニック)