ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

news_no.106

2021年(令和3年)4月1日 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 第106号(19)研修委員会主催セミナー ステップアップ研修 第30回全国大会のステップアップ研修は症例を提示して討論する形式となりました。症例の提示は森田勝美氏、ディスカッションは原文子氏、藤巻元美氏、今井七重氏が担当し、まず、単独型の病児保育室の症例が提示されました。 6歳2ケ月の女児で、朝方から発熱があり、感冒の診断で病児保育室を利用しています。38℃台が続き、食欲はありません。帰宅後も果物を少量摂取したのみでした。2日目は受診後に入室。熱は39℃で経過。遊ぶ元気はなく、ほとんど食べられず、水分を少しずつとる程度でした。帰宅後は医師に電話で相談し、水分を取れているとのことで受診しませんでした。3日目は37.5℃、腹痛があり、咳をきっかけに嘔吐して元気がないため保護者に連絡して、かかりつけ医に再診しました。低血糖・血中ケトン体上昇と診断され、点滴を受けました。その後、再入室しましたが、その後は食事もとれ、遊ぶ元気があったという症例です。 3日を通じての保育看護計画の考え方を含めながら経過説明があり、保育看護の考え方、診断名の低血糖・ケトーシスについて説明がありました。単独型や保育園型では事前診察した医師の指示に従わざるを得ず、病児を預かる時には状態を評価して保育看護を行うことが大切です。この症例ではORT(経口補液療法)が有用だったかもしれず、ORTの説明が行われました。朝食が取れていない原因は疾病だけでなく家庭背景が原因となることもありますが、限られた情報から看護師、保育士の双方から子どもを多角的に見ていくことが必要です。保育の観点からは、食べられないことへの家庭での気づきや治療の援助をもう少しできなかったかが挙げられました。短期保育である病児保育では、日ごろの状態についての状況の聞き取りや受診の促しも含めて、保護者とのコミュニケーションの重要性を再認識しました。 以上のような討論でした。皆様の保育看護の参考になれば幸いです。 報告者/座長:横井  透(横井小児科内科医院)研修委員会委員:森田 勝美、原  文子、藤巻 元美、今井 七重 基礎研修の講義「保育看護」を担当された原文子さんは、2001年から19年間、保育園型病後児保育を通して保育看護に携わった中で、培われた経験をもとに様々な事例を通して説明されるので、「そうだよね」「私もこんな経験した」というような共感的な思いで受講されたのではないでしょうか。 コロナウイルス感染症の拡大に伴い今年は、基礎研修(保育看護)の冒頭に「ウイルスによってもたらされる3つの感染症について」、日本赤十字社の感染予防を参考に病児保育における感染予防についての説明が加えられました。次に「フィードバックから得る共感で保育看護を学ぶ」と題しまして、病児保育(保育病院)の成り立ち、病児保育の特徴、子どもの病気、保育看護とはなどについてご講演いただきました。 病気に関する知識や年齢・症状・発達・性格・家庭環境など、個々に応じた配慮などという様々な視点を学ぶことは、個人の意識を変がかわり、「一人一人に寄り添った保育看護とは?」につながったり、保育士・看護師の専門職同士の「協働とは?」を考えたかかわりにつながったりする。そして、保育看護の保育観・看護観をも変化をもたらすという研修になりました。研修委員会主催セミナー 基礎研修(保育看護)    演者:原  文子(社会福祉法人 すこやか福祉会 おやこの森)報告者/座長:今井 七重(中部学院大学 看護リハビリテーション学部 看護学科)