ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

news_no.106

(4)第106号 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 2021年(令和3年)4月1日 会頭講演では冒頭で病児保育の歴史と病児保育研究大会の歩み、病児保育の目的の移り変わりについて触れられ、その役割は単なる就労支援ではなく育児支援、子ども支援であったがCOVID-19の影響により在宅勤務や東京集中から地方分散等働き方の変化は病児保育のあり方を根底から考え直す機会となっていること、これからは病児保育が医療的ケア児の受け入れやその家族のレスパイト機能、虐待防止、育児に関する知識や実践の場として機能すべく議論が進んでいることを報告されました。つぎにCOVID-19と戦う病児保育では2020年4月7日の緊急事態宣言前に感染症対策委員会がいち早く策定した病児保育室の受け入れ基準は多くの協議会加盟施設で活用されさらに緊急事態宣言下や緊急事態宣言解除後のスタッフ向け解説書やチェックリスト、安全対策委員会が作成したCOVID-19流行下での危機管理の考え方と対応は病児保育室における日々の業務において支えであることも示されました。そしてCOVID-19禍で疲弊する病児保育施設の窮状を協議会会長の立場より厚労省へ赴き要望書として訴えて交付金制度の見直しが実現したこと等大川体制の大きな働きを感じ取る会頭講演でした。 杉野茂人先生は2020年6月に実施されたCOVID-19流行下の病児保育経営状況に関するアンケート結果から緊急事態宣言が発令された2020年4月以降の病児保育室利用者数が前年同期に比して大幅に減少している実情をアンケートに寄せられた切実な声とともに報告されました。各施設の経営状況改善を個別に地元の自治体に要望することと並行して、団体である協議会が国(厚労省)と直接交渉することの重要性を力説されました。 黒木春郎先生は最初に御自身の施設を一例として紹介され全国の病児保育室の性格が均一ではないことを報告されました。 2020年9月~ 11月に全国の協議会加盟施設を対象に各施設の定員、年間利用者数、職員数、自治体との関係や補助金制度、COVID-19流行下の対応等を調査項目としたアンケート結果を詳細に分析されました。御自身の経験とアンケート結果からCOVID-19の到来は病児保育のあり方をとらえ直すことを要請しているのではないか、子どもが病気のときは自分の仕事より子どもの看病を優先できる社会の実現が必要であり、セーフティネットとしての病児保育は貧困層や要支援家庭等家庭での病児の養育に欠けた児を保育することにすべきではないかと問題提起されました。しかし医療従事者を含めたエッセンシャルワーカーが仕事を休むことが困難であることも現実であり総合討論でも議論の中心となりました。 また病児保育室入室時に全員SARS-COV-2の抗原検査を実施すべきかについてもその賛否が交わされました。 WEB開催はこれからの研究大会のあり方を占う上で大変参考になりました。COVID-19が終息しても現地開催とWEB参加のハイブリッド形式が主流になることが予想されます。緊急事態宣言下で迅速に対応された大川会頭初め実行委員会の皆様に深謝いたします。 演者の石﨑先生は、小児科専門医、東京医科歯科大学小児科臨床教授であり、小児神経専門医、子どもの心専門医として臨床を行い、障がい者生活支援センターなどを運営する社会福祉法人の理事長も兼任しています。オンデマンドで視聴された方は、石﨑先生の講演に感銘を受け、療育とはどんなものか、どのように行われているのか、保育看護を行う上でどのような点に注意をすればよいのかを理解されたと思います。 この講演を視聴しなかった方々のために要旨を略述します。病児保育での関わりで参考となることを、後述するように具体的に分かり易く説明してくれました。さらに、子ども達にとって何よりも重要なことは、療育、発達障害を持つ子どもの療育、保育と、連携した医療教 育 講 演 1    講師:石﨑 朝世(公益社団法人発達協会王子クリニック 院長)報告者/座長:藤本  保(大分こども病院キッズケアルーム)