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概要

news_no.106

2021年(令和3年)4月1日 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 第106号(7)利用したかを把握して利用人数に相当する費用を算出することが容易になり、病児・病後児保育施設の同士の、そして自治体同士の相互連携が活性化される。このようなことは広域での子育て支援の社会資源の効率的な活用、強いては過疎化する地方における様々な住民サービスの質を向上させて、人口流出の抑制に繋がるであろう。園田氏や協議会が関与する厚労省の調査研究が、政府や県、市町村自治体に説得力がある資料となり、病児保育におけるICT化や広域利用が推進されることが期待される。教育講演3(スマホのカメラでかざすとYouTubeに遷移します)東京大学大学院教育学部長の秋田喜代美先生からは、現代の多様な保育ニーズにおける保育の質の問題について、保育現場での事例や研究結果をもとにご講演いただきました。秋田先生はご自身の子育てを通して、子どもの成長、発達についての探求心を刺激され、この道に進まれたと伺いました。その後多くの研究を重ねられ、現在はさまざまな分野でリーダーシップをとられています。今回は多くのお話の中から特に印象に残ったことについてご報告いたします。「この1枚の写真から何を感じられますか」と、一人の女の子の写真を出されました。先生がコメントをされながら同じ写真を3回見ます。コメントを聞く前後で子どもの見方が違ってきます。他者の言葉に触れることで、他者にはどのように見えているのかを知り、自分の読み取り方に癖があることや一人では見えなかったものが見えてくることに気づくことが、子どもの捉え方には必要であるとわかりました。そして子どもが関わろうとしている事象において、子どもの心の動きやそのプロセスを知ることが重要で、子どもが夢中になることを保障し、保育者が子どもの目線にたつという意味を考えることも大切であるとお話しされました。また保育の質の向上については「お互いをリスペクトする」という言葉を強調されました。保育の中では即興的な対応と柔軟的な対応が常に必要で、それらを併せ持つことは職人技であると言われます。中でも子どもを視る技、行動して関わる技、先を見通す技の3つが大事ですが、これらを言語化することは難しく、記録を取ったり、同僚の働き方を見たり、アイディアを出し合い皆で学ぶ環境を創ることが必要だと言われました。そのためには先輩、後輩は関係なく、お互いをリスペクトすることから豊かな心持ちを生み出すことができ、これにより職人技が伝承されていくと語られ、改めて日常の保育を振り返る機会をいただきました。最後に「病児保育の職員の皆様にリスペクトします」とのお言葉をいただきました。心温まる秋田先生のご講演に感謝申し上げます。子ども時代をゆたかに:よりよい保育をもとめて教 育 講 演 4    講師:秋田喜代美(東京大学大学院教育学研究科)報告者/座長:佐藤 里美(さとう小児科医院 病児保育室バンビーノ) 2019年度(平成31年度)実績調査アンケート票の回収は、2月22日をもって終了させていただきました。500施設からのご回答をいただき、回収率は65.3%でした。解析をして2021年度病児保育研究誌にその結果を掲載いたします。2019年度(平成31年度)実績調査アンケートについて皆様のご協力に感謝いたします。ありがとうございました。(一社)全国病児保育協議会 会長 大川 洋二調査研究委員会 委員長 荒井 宏治