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概要

news_no.99

2019年(令和元年)10月15日 第99号(11)教 育 講 演 7教 育 講 演 8一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース食物アレルギーについて 朝いちばんのセッションにもかかわらず、会場からあふれるまでの多数の参加者があり、病児保育の現場において食物アレルギーに大いに関心がもたれていることが実感されました。 佐々木先生は今般改定された「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」をもとに、基礎的なことから、日常遭遇する様々な問題に対しても具体的にお話して下さいました。 概要を一部ご紹介いたしますと ①学童期の食物アレルギーとの違いは、乳幼児保育の現場では「食べたことのない」ものの摂取に遭遇することがあること②血液検査”神話“について:IgE抗体価は摂取の可否、量の判断基準にはならない。負荷試験で食べられる量を決め、「完全除去」から「食べられる分を食べさせる」必要最小限の除去が推奨されている③生活管理指導票の活用が徹底していない。診断書と同様に医学的根拠に基づいて作成されるものであり、互いの情報共有講師:佐々木美香 先生(独立行政法人国立病院機構 盛岡医療センター副院長 小児科) 報告者/座長:安齋由紀子(小児科・内科 あんざいクリニック 病児保育室りんごっこ)    にも役立つので、もっと活用するべきである④保育所で預かるときの留意点:危険な症状に発展する可能性のあるせき、くしゃみ、鼻汁を見逃さない。エピペンの使用と緊急時の対応について⑤さらに、母体の妊娠中の食事や生活、乳児期早期のスキンケアの重要性についてもふれ、最新の正しいデータに基づく知見と予防法についてもお話くださいました。 小児アレルギー専門医の数は十分ではなく、軽症例では園の方針、医師の指導のあいだに「少しずつ食べさせる」「絶対食べさせない」といった温度差があることも時に経験いたします。そのような問題に対しても「目からうろこ!」のようなとても切れ味のよいご講演でした。皆様の明日からの保育業務にすぐに役立つことと思います。佐々木先生、ありがとうございました。最後に。佐々木先生に1分1秒でも長くお話頂きたく、質疑応答のお時間がとれなかった座長の不手際を心からお詫び申し上げます。      (文責 安齋由紀子) 児童養護施設、みちのく・みどり学園での長年の経験から、虐待を受け保護された子ども達のその後をお話ししていただきました。多くの参加者が訪れ、関心の深さが伺えました。 まず先生の所属施設の概要を説明されました。岩手愛児会みどり学園は昭和32年に虚弱児施設として開設され、平成10年に児童養護施設に移行しました。現在岩手愛児会は、身体の「もりおかこどもクリニック」、心の「ことりさわ学園」、家庭の「みちのく・みどり学園」、そして「たんぽぽ病児保育所」と4つの複合施設で成り立ち、隣接する岩手県清松支援学校とともに多方面から子ども達をサポートしています。 みどり学園では時代とともに虚弱児の入所は減少し、児童相談所から紹介される虐待児や家庭養育が困難な児童の割合が増加しているようです。身体的虐待やネグレクトは背景に家族、特に母親の精神疾患や発達障害、貧困、知識不足などがあり、性的虐待児と同様に精神面のフォローや治療が必要な場合が多いようです。しかし安全な「場所と人」の中で日常生活を送ると、子どもたちは徐々に元気を取り戻し、問題行動演者:赤坂美代子(社会福祉法人 岩手愛児会 みちのく・みどり学園 副園長)報告者/座長:佐々木美香(独立行政法人 国立病院機構 盛岡医療センター)    『子どもの虐待』― 児童養護施設の現場から ―