ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

news_no.99

(4)第99号 一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース 2019年(令和元年)10月15日特 別 講 演 1児童対策、幼児教育、保育の無償化そして病児保育事業についての説明があった。そのなかで国は病児保育では半数以上の施設の経営が赤字であることを認識しており27年度からは改善費、28年度からは体調不良時の送迎時に要する費用、また施設設備に係わる補助を創設している。30年度拡大事業としてはいままで「利用児童が少ない日時において情報提供や巡回支援を実施する」場合に加算分として支払われていた改善費だがこれは自治体によっては支払われなかったところ、何もしなくても支払われていたところもあるものが基本分と補助単価の一本化を図るというのは地域によっては非常に助かる施設が出てくると感じた。 昨今自治体の方が見えると病児保育施設を見学していただいている。皆さんこんなに手厚く看護しているのかと驚かれる。今年度から青森県は全国病児保育協議会青森県支部と共催で研修会を行うこととなったが打ち合わせの段階で当然なのかもしれないが病児保育について実際的なことは御存じない方が多い。単に病気の子どもをお預かりしているのではなく病児に寄り添い、母子の愛着形成にも細心の注意を払い看護していることを行政とのかかわりの中で伝えていくことも全国病児保育協議会各施設に課せられている課題ではないかと感じた。絵本は最高のコミュニケーションツール~絵本はこころの架け橋~ 日頃、保育の現場で当たり前のように活用されている絵本。子どものために作られた絵本が、なぜ最高のコミュニケーションツールとなるのか…大変興味深い講演であった。1日目の最初のプログラムであったが、参加者数は予想をはるかに超え、立ち見を含め130名ほどとなった。 講師の岡田先生は、もともとは一級建築士として大企業に勤務していたバリバリの理系男子。その方が、なぜ絵本セラピーというプログラムを作るに至ったのかというエピソードを交えて、なぜ大人に絵本なのか、絵本が持つ可能性とはどのようなものなのか、などについてお話をいただいた。 講演は参加型で、ビデオカメラでスクリーンに拡大投影された絵本の絵を見ながら先生の読み聞かせを聞き、読後問いかけられる簡単な質問に対して自分の内面と向き合い、思い浮かんだことをワークシートに書き出し、それを周りの参加者同士でシェアするという形で進んだ。1時間半で7冊の絵本の読み聞かせがあったが、それぞれの絵本がしっかりとした目的をもって選ばれていた。 同じ絵本を同じ場所で同じ声で読み聞かせてもらうのだが、問いかけの答えをシェアすると実にさまざまな話が出てくる。それぞれが生きてきた経験や価値観、抱えている状況、置かれている立場によって、心のどの部分に触れるのかが違っているが、年齢や職種や経験の違いを超えて「みんな違ってみんないい」のである。そして、はじめましての者同士でもお互いを認め合えるという空気の中では自然に心が開かれ、自身の思いを抵抗なく話すことができ、その結果、心の交流が生まれるのである。まさに、この絵本を使ったプログラムで、安心安全を担保されたコミュニケーションの場が作られることを実感した。 専門性を持った多職種のスタッフの連携が必要な病児保育の現場だからこそ、講演の中で語られた「自分自身を大事にすること、自分の当たり前を広げること、愛ある花のような言葉で相手を知ること」が大切であると感じた。講師:岡田 達信 氏(絵本セラピスト協会 代表)        報告者/座長:金濱 順子(杜のこどもクリニック 病児保育室ままぽけっと)